りんごの木の枝に1匹のいも虫が住んでいました。 
ある嵐の晩、枝が折れいもむしはりんごに 
掴まったまま木の下の川に落ちてしまいました。 
「ぼくは、いずれ食べ物が無くなるか、干からびて 
死んでしまうんだろうな」 
そう思うと、いもむしはとても悲しくなりました。 
「でも、あと1日だけ、とりあえず今日だけ生きてみよう」 
そう思ったいもむしは、足元のりんごを 
かじり始めました。りんごの船が転覆しないように気をつけて 
とうとうりんごも皮一枚を残すのみとなりました。 
これ以上かじったら穴が開いて沈んでしまうでしょう。 
「これで、ぼくのできることはもう何もないな」 
そうつぶやいていもむしはじっと横になりました。 
数日後、りんごの船から1匹の美しい蝶が飛び立ちました