もう15年以上前だが、当時8歳の弟を事故で亡くした。
小学校の帰りの事故だった。
病院についたときにはもう手遅れで、母が必死に弟の名を叫んでたのを
今でも覚えてる。
でも、その後御通夜の準備とかになると、母は泣いてなかった。
父も、普通に、弔問客相手に会話してた。
弟死んじゃってるのに、お父さんもお母さんも悲しくないのかなー・・・なんて
バカなことを考えてた。
祖父母とか、親戚の人たちが「かわいそうに」と泣いてたのだけど
母は泣いてなかった。
お葬式のとき、父はすこし泣いてたけれど、母は泣いてなかった。
でも、その後、火葬場に行って、火葬場で、弟のお棺が扉の向こうに消えた瞬間
それまで涙を見せなかった母が、今まで聞いたこともないような悲鳴をあげて
その場に座り込んでしまった。
「連れていかないで」「焼いてしまわないで」
いろいろ叫んでた。
あのときの母の悲鳴は、一生忘れない。
それでも、母は、翌日からは涙は見せなかった。
私は、弟のことで泣く母の涙は見てない。
でも、父が言うには、夜中に弟の部屋に行って一人で泣いていたりしたらしい。
大人になってから、弟が他界したときのことを話したことがある。
よく「時が解決する」というけれど、時がたてばたつほど、
弟がいないという事実がのしかかってきたそうだ。